~10月5日の放送より~
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「Lorca eran todos」上演に右翼圧力
【スペイン マドリッド 9月29日】
9月28日夜、「アウディトリオCCOO」でペペ・ルビアネス演出の舞台「Lorca eran todos (皆がロルカだった)」が上演されました。
この劇作品は当初「テアトロ・エスパニョール」で上演される予定でしたが、ペペ・ルビアネスが1月にスペインの地方多様性を擁護する発言をしたことが右翼団体の不興を買い、公演を妨害することをほのめかした脅迫がありました。
このため、「テアトロ・エスパニョール」は公演予定を中止。代わって労働者委員会の所有するアウディトリオCCOOが場所提供を申し出たものです。
マドリッドで唯一の公演となった28日には、右翼団体が周辺に集まり、ルビアネスを批判しスペイン国粋主義を称揚するシュプレヒコールを繰り返しました。
公演には、ピラール・バルデムやカンデラ・ペニャ、フェルナンド・レオン・デ・アラノアなどの俳優・監督らが駆けつけたほか、政界からも左翼連合ジャマサレス書記長や社労党 議員らの姿が見えました。
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議会からサパテロ首相の椅子盗難?
【スペイン マドリッド 10月2日】
「4ガトス (4匹の猫)」と名乗る若者グループが、国会議事堂からサパテロ首相の座る椅子を盗む模様を撮ったビデオをインターネットで流しています。
このビデオには、ヨットパーカーのフードをかぶった3人組の若者らが夜中に議事堂側面の窓をよじ登って侵入し、人目を避けて廊下を抜け、議会場の首相席から椅子を盗んで「サパテロ、10月16日に貧困に対して立ち上がれ」と書いた紙を残して逃げ、最後には車に椅子を積み込んで歓喜の声を挙げる模様が映されています。
4ガトスはホームページ上で「国連による10月16日の貧困撲滅キャンペーンに協力することを決意し、サパテロを立たせた。…スペイン首相も貧困撲滅に立ち上がり、他の議員もこれに続くように」としています。
議事堂側では、首相の椅子が盗まれたという事実はなく、ビデオは虚偽としていますが、議事堂内で若者らが首相の椅子を持ち上げる映像は本物で、一般公開の日などに撮影したのではないかと見られています。
廊下や侵入路の窓などは議事堂のものではなく、また椅子を運び出すシーンでは別の椅子が使われているということです。この件では警察もビデオの調査に乗り出すようです。
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サパテロ椅子窃盗ビデオ、実は広告のヤラセ
【スペイン マドリッド 10月3日】
スペイン中のインターネットを席巻した、議会からのサパテロ首相の椅子窃盗ビデオが、実は広告代理店によるヤラセだったことが判明しました。
パーカーを目深にかぶった若者らが国会議事堂に潜入し、議会場の首相の椅子を盗んで逃走するというこのビデオは、ホームページ
http://levantatezp.blogspot.comに掲載され、一日何万件ものアクセスが殺到しました。
議事堂の窓から侵入するシーンや椅子を運び出すシーンは実際のものではなく、早くから虚偽だと分かっていましたが、議事堂内で椅子を持ち上げたり、書き置きを残すシーンは実際に議事堂内で撮影されたと見られたため、事態を重く見た議事堂や警察が調査をしていました。
その結果、ビデオは大手広告代理店「ティエンポBBD」による国連貧困撲滅キャンペーンの広告戦略だったことが判明しました。
撮影には国会議事堂に勤める公務員が協力し、9月28日に撮影許可を得て議事堂内でビデオを回しました。
出演の若者らは全員プロの俳優で、撮影は短編映画を手がける監督が担当したといいます。
ティエンポBBDのクリエイティブディレクターは、「飢餓で死んでゆく人々に誰もが無関心だが、このビデオで警告メッセージを発したかった。…予算があまりなかったため、インターネットを使うことにしたが、効果を出すには過激なものでなければならなかった」とコメントしています。
結局、広告代理店の戦略はまんまと功を奏したわけですが、唯一とがめを受ける可能性があるのは、撮影協力した公務員だということです。
議会ではこの公務員の調査書を作成、検察に送って、犯罪に当たる場合は処罰される見込みです。
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協力:スペイン情報誌『OCS NEWS』
同誌のサイト
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